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佐野訳『入門』復刊

 投稿者:*鬼薔薇@病み上がり(^^;  投稿日:2007年 5月 6日(日)15時01分23秒
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  まだフラフラしておりますが、そろそろと(苦笑)。

長谷部訳『資本蓄積論』だけでなく、『経済学入門』の 佐野文夫訳(戦前版岩波文庫)も復刊されていると知って驚きました。

版元は一穂社(いっすいしゃ)。「岩波文庫を底本に、名著・古典籍を復刻刊行するシリーズ」の一冊ですけど、一風変った出版社ですね(^^)。
 http://www.issui-sha.co.jp/

この佐野訳(初出は昭和元年、岩波文庫初版が昭和8年)、戦後も一時期まで古い紙型を使って出されており、手許のものは昭和28年の第十刷――お借りしたお師匠さんが亡くなって、そのままお形見となってしまいました。

今は岩波文庫に岡崎・時永訳が入っていますが、この佐野訳にも(大塚訳に対する梶山訳『プロ倫』のように)独自の価値があるのでしょうか。佐野文夫は、「転向声明」で有名な佐野学とともに戦前共産党の最高指導部の一人で、マルクス主義文献の翻訳を数多く手がけておりました。その政治的・理論的業績を顕彰する意味は小さくないと思いますが、この訳業自体の価値については知るところございません。

『経済学入門』〔原題は「国民経済学入門」〕は、第一次大戦前ドイツ社民党党学校での講義を契機に執筆された未完の草稿で、そのうち虐殺に伴う散逸を免れた遺稿を同志パウル・レヴィが後に編纂したものですから、著作としては二重に未完成なもの。その執筆過程で直面した理論的困難との格闘から主著『資本蓄積論』が生れた事情は、『蓄積論』序文に著者自身が記しております。

佐野訳の底本は上のパウル・レヴィ編纂になる1925年の単行本、旧東独初期に出た『二巻選集』(1951年[*1])を底本にしたのが戦後の高山洋吉訳(1956年)、岡崎・時永訳は1970年代の東独版『著作集』(全5巻6冊[*2])を底本にしております。今の岩波文庫版の巻末に附された時永さんの「解説」は入念なもので、『入門』の執筆〜遺稿出版が著者の波瀾の生涯を映し出しているように、邦訳の歴史もまたローザ評価の変遷とわが国共産主義運動の曲折とを反映していることが、読む者に痛く伝わってまいります。

[*1] これをベースにいくつか補充したのが現代思潮社版『選集』でした。
[*2] 現行岩波文庫の訳者は『全集』としておりますが、完全とはいえぬもののようで『著作集』と呼ぶのが適当でしょう。多くのポーランド語著作を含む包括的な『全集』の編纂・出版計画が、数年前「アソシエ」周辺で語られていたようですが、その後音沙汰ないようですね。
 

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