「誤訳・不適訳が多すぎ?日本のハーヴェイ研究に汚点」---------------
「訳の出来栄えを見る限り、訳者は、日本のハーヴェイ研究の蓄積を踏まえて訳業に携わったとは思えない。フランス史について、19世紀にパリの都市改造をしたセーヌ県知事が「ハウスマン」とは噴飯もの(108頁)。経済学のタームでは、原著者が新古典派の「均衡」と地理学の「均等」概念を注意深く使い分けるのに対し、本訳書はごちゃごちゃだ(98頁など)。さらに訳書208頁の中国の経済開発を扱った箇所で、原文の「This presumes that this process does not spark a counter-revolution within China」の一文が訳出されていない。中国の「反革命」の可能性を述べると、何か不都合があるのか?
他にも数々ある本書の誤訳・不適訳の責任を、訳者本橋氏一人にかぶせるのは酷かもしれない。「訳者あとがき」によれば、青木書店の担当者が、本訳書の出版を2004年米大統領選に間に合わせるよう「熱望」したという。時宜を得た出版が、読者の喜び、出版社のビジネスチャンスだとしても、拙速な仕上がりの本訳書は、日本のハーヴェイ研究に大きな汚点を残した」。